【イラストでわかる】ハッブルの法則と宇宙膨張
みなさんは、宇宙は常に膨張しているということを知っていますか?中には、宇宙はビッグバンによって無から生まれたことをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。それでは、宇宙が膨張しているということはなぜ分かったのでしょうか。これからくわしく解説していきたいと思います。
ハッブルの法則
ハッブルの法則は、アメリカの天文学者ハッブルが1929年に提唱した法則です。この法則がどういったものであるかを簡単に言うと、
というものです。さらに、
ことも分かっています。これを数式で表すと、
( 後退速度v)=(ハッブル定数H)×(銀河までの距離d)
となります。ここで、銀河の後退速度をv、地球から銀河までの距離をdとしています。また、Hはハッブル定数です。
ハッブル定数の値
最新のハッブル定数の値は71km/s/Mpcです。単位の中にあるMpc(メガパーセク)は、1Mpc≒3.1×10^19kmです。
宇宙の年齢
銀河はどんどん遠ざかっています。逆に言えば、時間を遡っていくと、銀河の距離は0になります。銀河の距離が0であるところを宇宙の始まりと考えると、銀河の距離dは、後退速度vを一定として次のように表すことができます。
(銀河までの距離d)=(宇宙の年齢)×(後退速度v)
宇宙が始まってから今まで一定速度vで進むと、距離dだけ離れるという意味です。この式では、後退速度が一定であると仮定しています。
上の式とハッブルの法則から宇宙の年齢を求めることができます。
宇宙の年齢=d/v=1/H
この式を使って実際に宇宙の年齢を求めてみましょう。電卓を用いるなどして実際に計算してみてください。
問題 ハッブルの定理を用いて宇宙の年齢を推定せよ。ただし有効数字は2桁とする。
H=71km/s/Mpc
1Mpc≒3.1×10^19km
60×60×24×365秒=60×24×365分=24×365時間=365日=1年
宇宙の年齢=1/H
=1/(71km/s/Mpc)
=1s×1Mpc/71km
=1s×3.1×10^19km/71km
=4.366....×10^17s
=138.4...億年
≒140億年
このように、宇宙の年齢は約140億年ということが分かります。かなり正確な値が出るような気がしますが、実際には膨張速度が加速したり減速したりするので厳密ではありません。しかし、これで大体の年齢は求められます。
銀河の距離と後退速度の決定
ハッブルの法則を発見するには、銀河の後退速度を調べる必要があります。では、銀河の後退速度はどのようにして調べることができるのでしょうか。
銀河の距離の測定
銀河の距離の測定にはセファイド変光星を用います。セファイド変光星は、星の明るさが周期的に変化します。さらに、変化の周期と星の平均的な明るさとの間に規則性があります。そのため、セファイド変光星は、変光の周期が分かれば、その明るさも分かります。
地球から見た星の明るさは、遠くの星ほど暗く見えるので、本来の明るさと見かけの明るさを比べることで、セファイド変光星までの距離が分かります。
銀河の後退
銀河の後退速度は、光のドップラー効果を用いることで求めることができます。銀河は後退しながら光を発するので、発せられた光は赤方偏移します。この赤方偏移の度合いが強いほど、後退速度が速くなります。
赤方偏移の度合いを調べるには、光のスペクトラムを用います。光のスペクトラムとは、光を波長ごとに分けたものです。
このスペクトラムは、銀河によって固有の縞模様があるので、その縞模様のずれから赤方偏移を調べることができます。
最後に
いかかでしたか?この記事がお役に立てたら幸いです。